総義歯治療の一例

先日セットした自費の上下総義歯。

調整が終わった後、患者さんに試食してもらう。
まずは楽勝の左上、胡桃から・・・・・問題なし。
次に右上、アーモンド。これかなり硬いです・・・・・問題なし。
左下、茎わかめ・・・・・噛めます。食感の違いもわかります。

さあ、いよいよ真打登場!これが噛めなければお金が頂けないというイカです。
食べられました。痛みも無ければ義歯が動かないので中に食べたものが入るということも無い。
なのに患者さんは、「前の入れ歯よりマシです」としか言わない。。。。
ま、いいんですけど。
茎わかめがどうにか噛めるという感じだったら、このイカは出さないつもりでした(ズルい)

普通よくやるのは草加煎餅のようなものを食べてもらって感激してもらうというやつですが、これは実際問題大したことじゃないんです。煎餅というのは歯で挟んでおいて手でパキッとやるし、その後も粉々になっていくから、あくまでもパフォーマンスね。
このナッツはその点、ガッツいります。最後の最後まで硬いです。
イカに至った日にゃ、義歯じゃない普通の人でも噛みにくいと思います。後からスタッフに食べさせたら驚いていましたもん。
この義歯は本当はリンゴの丸かじりが出来るはずなんですが、僕でも普段そんなことしませんので、必要がないということでやってません。
ほんとは怖かったというのも、ちょっとだけあります(笑)

上下金属床で今回の治療費は80万円也。
僕は高いとも安いとも思いませんし、適正価格とも思いません。
ただ、今回の治療に関しては自分がもう一度基礎からきちんと義歯を仕上げていこうという自分のための勉強の意味合いもあって、僕とすれば若干安く設定したつもりです。
かなり細かいステップを踏みました。
その代わり、この患者さんの主訴が前の義歯ではイカやタコが食べられないということだったので、それが食べられなければ必要経費(技工料金として必要な約20万)だけは頂きますが、主訴が解決しないわけですから僕の取り分はなし、という話でした。
そりゃ必死になるって(笑)

しかし、こうやって苦労して入ってきたお金も、スタッフのボーナス、源泉税、自分の市民税、おまけにわけのわからん特別徴収制度という名の下にスタッフの市民税を院長が納めなければならない、あと所属している各種学会や研究会の年会費等々。
入れば出て行く。
お金というのはそういうふうになっておるのでしょう。

余談ですが、日本にはこのような義歯で一千万円請求する歯科医もいます。
お金の価値観は人それぞれなので別にいいんですが、一千万あったらキャッシュでCT買えるね。
それと、この写真撮るときにナッツの入ってた大袋を思いっきり倒してしまって、診療室の床がナッツだらけになりました。
仕方が無いので拾い集めて殺菌水で洗浄して、屋上で干したら甘くなってかえって美味しくなったとさ。(でも嫁さんはムカッとしている)

食材

2014.6.29

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