え~、僕の年代の男子はこの”課外授業”という言葉を聞くと、ちょっと甘酸っぱいものがこみ上げてくるのです(笑)

では、早速教室をのぞいていましょう。

場所はとある附属中学校の2年3組。

 

え~、紳士淑女の諸君(笑)

はじめまして、こんにちは。

僕は30年以上も前にここを卒業して、今は奈良で歯医者をしています。

そんな僕がどうして歴史について話をするのか?についてはそのうちわかってくると思います。

 

今日は緊張することに、テレビカメラも入っておれば、校長先生や教頭先生、そして後ろには父兄の方々もいらっしゃいます。

こういう状況で、普通の歴史の先生なら絶対に避ける話題をしますよ。

日本と韓国・中国の関係についてです。

皆さんもテレビで見て知っていると思いますが、今、日本と両国の間には領土問題というのが表面化していて、かなりこじれています。

もしかしたら皆さんの中にも、お父さんの会社が困っていたりする人がいるかもしれません。

 

また普通じゃ絶対にしない話をしますが、特にここは国立の附属中学ですからね(笑)、領土問題の裏には太平洋戦争中の日本軍による蛮行があるとされています。

韓国においては従軍慰安婦問題、そして中国においては南京大虐殺。

それ以外にも細かなことはあるのですが、よく話題にされるのがこの二つです。

 

皆さん、戦争ってどういうものだか知っていますか?

基本的には殺し合いです。

普通に考えたら、人間として一番してはいけない行為が合法化されている状況下で、何が正しくて何が間違っているのでしょう?

古来より、戦争時には敵を殺して、金品を奪い、敵の女性を犯す、そして領土も奪って負けた方は奴隷になる。

何をされても文句を言えないのが、戦争に負けるということなのです。

時として、食料が欠乏した時には、殺した敵兵の肉を食うことだってありました。

狂気としか言いようがないですが、皆さん、それが戦争なのです。

 

韓国や中国には日本がひどい加害者のようなことを言われますが、日本だってアメリカに原爆を落とされたし、焼夷弾によって街や人を焼き尽くされたし、アメリカ軍は低空飛行で民間人を、それも女子供まで機銃掃射で撃ち殺したのです。

風防ガラス越しに、アメリカ兵が笑いながら撃っていたのが見えたと言います。

ソ連だって日ソ不可侵条約を一方的に破棄し、罪もない民間人を多数殺した上に、どう考えても非人道的なシベリア抑留を敢行しました。

・・・・・なんですが、今日はそういったことは少し横に置いておきます。

あくまでも韓国・中国と日本の関係にだけ着目してみましょう。

 

さて、前もって担任の先生から渡してもらっていたと思いますが、領土問題、そして慰安婦問題、南京大虐殺についての資料は読んでもらえましたか?

わかってもらえたと思いますが、それぞれの問題について、日本側が用いている資料、韓国・中国側が用いている資料の両方をプリントしてあります。

では、ディベートをしてみましょう。

ハイ! 教室の真ん中で区切って大きく2つのグループに分けます。

机を動かしてもらって、2つのグループが向き合うようにしてください。

まずは黒板に向かって右側のグループが韓国の立場で、左側が日本の立場で、慰安婦問題について話し合ってください。

その次には立場を入れ替えて、右側が日本、左側が中国になって南京大虐殺について話し合いましょう。

 

その前に、もう少しだけ話をさせてください。

・・・・・校長先生、大丈夫ですか?

なんか顔面蒼白ですけど、ご気分悪くないですか?(笑)

 

今日の歴史の授業の一番大切なところ、僕が皆さんに考えて欲しいのは、”なぜ歴史を学ぶのか?” ということなんです。

それを考える材料として、先ほどの問題を取り上げたに過ぎません。

 

皆さんは自分のお父さん、お母さんが好きですか?(挙手を求める)

え? たったこんだけ?

挙げてる人も、何、その中途半端な挙げ方(笑)

それって後ろに親が来てる人だけが挙げてんじゃないの?(大笑)

まあ、嫌いな人ってそういないと思うけど、いざ「好きか?」って聞かれたら困るし照れるよね。

 

では、この中でこの教室にいる自分以外の全員のことが好きだって人います?

ハイ、ゼロね (笑)

つまり、嫌いな人が1人はいるってわけだ。

別にそう思うのが悪いことじゃないんよ、言うとくけど。

 

皆さん、自分は誰の影響を一番受けていると思いますか?

こんなの言うまでもなく自分の両親ですよね。

反抗している人もいるとは思うけど、それだって影響を受けていることには変わりはない。

ということはね、あなたが嫌いな生徒のことを理解しようと、もし思うなら、その子の両親のことを知らないといけないよね。

その子が今、そうなっているのは、その子なりの歴史があるんだから。

その子の両親に最も影響を与えたのはその両親の両親、つまりお祖父ちゃんお祖母ちゃんなんだから、そこも知らないといけない。

そして・・・・・ってやっていくと、延々とキリがないんだけど、要はそういうことで、その子のここが嫌と思っているんだけど、その原因はその子にはなくって単に結果というか、その子もある意味被害者ちっくなのかもしれない。

誰だってみんなに好かれたいと思うんだからさ。

 

もしかしたらこの中の誰かが、あなたのことが嫌いって思ってるかも知れないよ。

どうします?

「あたしもあなたが嫌い」ってやり返す?

それともわかって欲しいと思う?

もし、あなたがわかって欲しいと思うのなら、相手だって同じじゃないかしら。

 

人類の歴史を見るとね、戦いと勝利と敗北の歴史なんですよ。

これを人類が誕生してから現在まで延々と懲りずに繰り返しているわけ。

戦いに勝ち続けるというのが不可能というのは、まさに歴史が物語っていて、どのような大帝国をうちたてようとも、最後には別の国に滅ぼされてきたんです。

例外はゼロ。

でも、人類はいまだに戦っているわけ。

これは何も戦争だけじゃなくて、会社だってライバルに勝とうとしているし、皆さんも来年には受験戦争で勝たなけりゃいけない。

少なくとも、明治以降はどの国だって自分の国や他の国の歴史について勉強してきたはずなんだ。

でも同じことを繰り返してしまうというのは、どういうことなんだろう?

誰だって戦争なんかで死にたくないわけだから、じゃあ一体どうすればいいんだろう?

 

いったい、歴史を学ぶ意義ってどこにあるんでしょうね?

さあ、それを今からディベートしていって考えてみようか。

まずは日本と韓国から。

双方とも成りきってもらって、本気で言い合ってください。

ただし、暴力はなし。

この小さな街の小さな中学校の一教室から、新たな歴史のスタートです!

2012.10.12