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無痛治療について ~Painless Treatment~

本来はサイドメニューの歯科の項目のところで書くべきことかもしれません。

まあ、そう大した話でもないのでここでいいことにしちゃいます。

 

言葉というのは都合にいいように本来の意味が変わっていくことがあります。

例えばQOLという言葉。

これはQuality of Lifeの略で生活の質と訳されることが多いようです。

歯科でいうならインプラントは患者さんのQOL向上のために非常に役立つ、というふうに現在では使われます。

僕が阪大でインプラントの講義を受け持っていた20年ほど前、まだ今ほど一般にインプラント治療が認知されていませんでしたので、テストの問題として小難しいことを出さずに、「インプラントとQOLについて述べよ」と出題したのを覚えています。

これは授業中も、これが出るかもよと言っておいたし、何かしら書いておれば点数が何点かあげられるからです。

全国の歯学部の中でQOLというのをテスト問題にしたのは、僕が最初だという自負があります。

当時まだその言葉は歯科では使われていませんでした。

 

そもそもこの言葉を正式に日本に紹介されたのは、当時大阪の国立循環器病センターにいらっしゃった内科医の萬代隆氏であります。

QOLの本来的な意味は、循環器系、呼吸器系などの慢性疾患で投薬を長期間にわたり続ける場合に、薬の副作用で患者さんの生活が健常な状態に比べて不自由になるのをなるべく避けるような薬の選択をしようということなのです。

できるだけ患者さんの生活の質を落とさないような治療方針を立てること、それがそもそもの始まりでした。

ところがこの言葉が何につけても都合がいいもんだから、使いたい人の好きなように使われるようになっていったのです。

言葉ですから変化していくのは構わないのですが、元々の意味を知らないというのは如何なものか?ということもあるわけですね。

僕は幸いにして以前、萬代先生のお話を聴く機会があったのでたまたま知ってるだけなんですけど。

 

さて、無痛治療です。

どこかの歯科医院のホームページをご覧になればわかりますが、誤解して書かれていることが少なくありません。

まず、しっかりと表面麻酔をしてから針が刺さる時の痛みを極力和らげます、というように。

あるいはシリジェットという麻酔薬を強い空気圧で粘膜下に噴霧する針のない器具を使っている医院もあります。

また現在一番多いのが、マイコン制御された小型の電動麻酔器と極細の注射針を使い、ゆっくりと麻酔薬を注入していきますというものです。

それらはどれも素晴らしいものですが、これを無痛治療と謳うとそれは間違いなんです。

 

本来の無痛治療というのは、文字通り無痛で治療するというもの。

麻酔もしません。

歯というのは一番外側のエナメル質部分には感覚がないので、ここはいくら削っても痛みを感じません。

その内側にある象牙質というところを削ると痛みが生じるのです。

ところがむし歯によりその無機成分が溶出してしまい、柔らかく溶けかかった象牙質はその感覚を失うので痛くないのです。

純粋にむし歯の部分だけ削る分には無痛で治療ができるはずだということです。

痛みが生じるのは、健全な象牙質も削ってしまっているか、あるいは再石灰化といってもう一度リンやカルシウムイオンを取りこんで、溶けかかった象牙質が復活する可能性があるところを削っているのかもしれない。

つまり麻酔をして完全に痛みの感覚を抑えてしまうと、削らなくてもいい部分を削る危険性があるということです。

 

しか~し、これね、なかなか額面通りにいかないんですよ。

僕も試したことがあるんですが、上手くいかないことの方が多かったので、今では妊婦さんとかで麻酔をしない必然性がある時にしかトライしません。

その代り、麻酔の量を極力減らし、常に必要なところだけを削るようには心がけています。

 

麻酔が非常に効きにくいということがあります。

麻酔薬というのは弱アルカリ性でないと効きづらいという性質がありますが、我慢して放っておいて腫れたり本当に痛みがひどくなってから来られますと、炎症部位は酸性に傾いてますので麻酔、効きません。

だから結局は麻酔の効きが不十分な状態で処置せざるをえなかったりして、歯医者は痛くて恐いとなるのです。

それで次もとことんまで辛抱してから行くから、悪循環。

もういい加減、悪くなってから、痛くなってから歯医者に行くというスタンスは考え直されてはいかがでしょうか?

今、予防のことを真面目に考えてない歯医者なんていないと思うんですが、受診者側はあまり真面目に考えていないようです。

どう?

ちょっとは歯医者らしかった、僕?(笑)

2011.4.23

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