一般的見解

通常予防歯科に取り組んでおられる歯科医院では、まず現在の資料をとります。

これは何をするにも必要なことです。

特に初診時の口の中の写真とカリエスリスク(むし歯のなりやすさ)試験は重要です。

生活習慣を知るための問診も大切ですね。

一緒に生活している家族の口の中や全身の健康状態がどうなのかも実はすごく参考になるのです。

カリエスリスク試験では、現在の口の中の細菌を調べます。

どのような種類の細菌がどれくらいの量いるのか。

唾液の緩衝能といって、唾液が食後酸性に傾いた口の中をどれだけ速やかに中和する能力があるのかも調べます。

これが成人の歯周病の場合は、若干免疫学的な検査に傾きます。

これらすべてその患者さんの現状をまず明らかにする、そしてその現状を招いている原因を模索する、そして治療法の立案とその治療効果の判定のために不可欠なものです。

また現在何の問題もないのであれば、なぜそうなのかを分析し、その状態を維持してもらう、あるいは今後起こり得るリスクを考えて注意してもらうためにも現状の資料採得は重要です。

むし歯になるということは、歯が口の中が酸性になって溶けるのと、再び唾液中のカルシウム分を取り込んで元に戻るのとの平衡状態が崩れる、つまり溶ける方が多くなることにより起こります。

その患者さんにおいて、そうならしめている原因は何か?を探り、それを除去していくわけです。間食も含めた食生活や、その他生活習慣、歯磨きがきちんとできているか、等々をみていくのですが、詳細は他の医院のHPでどうぞ。

歯周病も基本的には同じなのですが、歯科に限らず慢性病というのは生活習慣病と言われるがごとく、そちらを見直すことが非常に重要になってきます。

治療が終わった後、その健康な状態を維持するために、また元々健康な人がその状態を維持するために、自分の現状を分析し、むし歯や歯周病にならないように、再発しないようにしようというのが予防歯科の目的です。

そのためには、3カ月に一度の定期検診とクリーニングが必須です。

なぜ3カ月かというのには研究による裏付けがあり、それより長くなると仮に口の中に問題があった時に、発見するのが遅くなり病態がより進行した状態になってしまうということです。

もちろん毎月やってもいいのですが、面倒くさいですよね。

ただし治療が終わった後の患者さんによっては3カ月だと開きすぎのことがあり、毎月クリーニングをすることもあり得ます。

 

とにかく、むし歯も歯周病も元来稀な病気なのだということ。

どちらも細菌感染なのですが、むし歯菌も歯周病菌もその数はともかくとして、誰にだっているのです。

お腹の中に大腸菌など誰だっていますが、それにより皆がお腹をこわすわけではありません。

病気になる方がどこかがおかしいのです。

様々なことに気をつけていても、現代という特殊な社会において本当に健康を維持するというのは大変なのかもしれません。

であれば、かかりつけの歯医者さんを持ち、そこで口の中に問題があろうがなかろうが、定期的に予防のため、健康のために検診を受けクリーニングを受けるというのは、いろんな意味からお勧めであります。

そして必要な時には、最初に述べた様々な資料をとり現状がどうなのかを判定する。

その方が結局、時間的にも金銭的にも、そして何より体のために得なのです。

と、ここまでが一般的見解でした。

ならまちワンネス歯科の見解とスタンス

当院でも予防的なメインテナンスというのを実施しております。

いったん治療が終了した患者さんで、継続的にクリーニングを希望される方は3カ月に一度定期検診に来て頂きます。

とりわけインプラントなどの大がかりな自費治療を行った患者さんには必ず受けて頂くようお願いします。

およそどこの医院でも大差はないと思いますが、当院においては自費治療のトラブル(セラミックが壊れた等)に関して5年以内はほぼ全面的にこちらが負担して再治療をすることにしています。

もちろんそのようなことは稀ではあるのですが。

 

5年以上10年以内の場合、必要経費(材料費、技工料金など)だけは負担して頂きます。

そこに当院の利益は上乗せしません。

10年以上の場合は当院の手間賃も頂きますが、患者さんと相談の上、了解してもらえる範囲での再治療費の設定になります。

ただしこれらが適応されるのは、きちんと定期検診に応じてくださった場合のみ。

そうでないなら保証はしかねます。

車でも定期点検もロクにしてないのに、買ってから10年後の故障に対してディーラーに文句言っても、そりゃあんさん無茶だっせ!となりますよね。

だからといって全く知らんふりもできないんですがね、実際のところは。

これらは治療終了時に患者さんにきちんとお伝えします。

医院によっては、文書にして渡すところも多いです。

後から「そんな話聞いてない」と言われると困るので、まあ念書のようなものです。

 

治療終了後のメインテナンス(定期検診)以外の、より専門的な予防治療というのは当院ではやっておりません。

より専門的というのは、お子さんの唾液検査や細菌検査などのカリエス(むし歯)リスク診断および大人の歯周病の免疫学的な検査などは導入していないということです。

通常の一般的検査をした上でのフッ素塗布や歯石除去などはやっております。

その理由は以下の通りです。

 

大がかりな治療をした方には、それ自体が長持ちするためと、口の中全体が健康でありつづけるために、定期的なレントゲン撮影とむし歯や歯ぐきのチェックおよびクリーニングは必須だと認識しています。

しかしながら、僕は患者さんを管理していくというスタンスがあまり好きではありません。

人を管理するというのが、いくら健康のためとはいえ性に合わない。

むし歯や歯周病を引き起こす原因となっている細菌やそれらの病気そのものを悪者扱いするのも嫌いです。

細菌など誰にでもいるのにそれが原因で症状が出るなら、宿主(人間)側に問題があるのですが、それが必ずしも生活習慣だけではなく精神的、心理的側面も決して無視できないと知っている。

現状で病気とスピリチュアルを患者さんに語ったところで、いくら「ワンネス歯科」であってもそうそう受け入れられるものではありません。

下手をすれば患者さんの心理的解剖になりかねないので、気軽にそんなこと口にできないのです。

 

子供のむし歯が多いのなら、あきらかに両親に問題があります。

でもそんなこと診療台の横でお母さんに言えないでしょ。

重度の歯周病の人に、抱えている心理的問題を(こんなのすぐわかるんですが)指摘したところで、気分を害して次から来院されなくなるだけです。

でも本来的にはそのような視点が予防には絶対不可欠なのです。

であるならば、少なくとも現時点では時が来るのを待つしかない。

それまでは患者さんの健康を管理するというスタンスよりは、少々トラブル起こしても見守っていくという方が僕には性に合っています。

これらはあくまでも当院のスタンスでして、きちんとした予防プログラムを実施されている医院はそれはそれで非常に素晴らしいと正直言って思います。

 

僕が歯科医としてこのようなスピリチュアルメッセージを出す理由、それはいずれ時が来ればこのようなことをきちんと話せるように、それまでは少しずつ皆さんの意識変革の準備をお手伝いする、そのために歯科医をしているのではないかと思うのです。