I remenber you ~第63回正倉院展~

昨日の朝、4時半頃に目が覚め、布団の中でゴロゴロしていてもそれからは一向に寝付けません。

すると「You don’t know what love is あなたは愛を知らない」という、「余計なお世話じゃ!」と言いたくなるようなメッセージが頭に浮かびました。

仕方がないので忘れないうちに書いておこうと5時半に診療室まで降りてきてブログをアップしたのですが、元々昨日のために書いておいた記事があったので、それと差し替えというやつです。

8時位に診療室から上の自宅にあがってリビングで子供たちが「おはようございます」

なんか変な感じでした。

 

昨日は祝日だったので正倉院展は夜7時まで。

ということで6時前まで「かえる庵さん」で時間をつぶし、「じゃあ行ってきます。またあとで」みたいに出ていきました。

午前10時頃に近鉄奈良駅に行った際は観光客でごった返していて、奈良駅着の列車も人を吐き出すという感じでした。

その時点で改札口で駅員さんが言うのには「正倉院展、ただいま入場口で100分待ちでございます」だって。

どひゃ~。

長堂小学校同窓会

で、夜の6時位に国立博物館へ向かうと、こちらへ帰ってくる人とすれ違うばかりであちらへ向かう人はいない。

こりゃ空いてるかな?という期待を元に入場券売り場でチケットを買おうとすると、オータム・レイトチケットということで本来1000円のところが700円。

おまけに売り場のお姉さん曰く 「ほら、見てください。番号が7並びなんですよ。わたしが欲しいくらい」

チケットの通し番号を見ると、なんと 000777

ひえ~。

思わず「ありがとう」と感激しながら受付嬢にお礼を言いつつ入場すると、守衛のおっちゃんに無慈悲にももぎられました。

「え?そこ、ちぎんの?ちょっと写真撮らせて」

「いや、これ頂かないといけないことになってますんで」

「わかってるって。せやから、誰もくれ言うてへんがな。ちょっと写真撮るだけやて」

という関西弁丸出しのやり取りを経て写メ撮ったんですが、慌ててピントがぼやけてイマイチなんで一応ご報告までということで。

いくらなんでも僕がたった777番目の入場者ということはないはずなので、おそらくレイトチケットの中での通し番号なんだと思います。

 

中は比較的空いていました。

僕は30分位でサッと観たのですが、勘違いしないでね。

観ることが目的じゃないのよ。

感動することが目的なのです。

で、まず入ってすぐの「大仏開眼の際に着られた衣服」が目の前にあるのにココロ打たれます。

なみだ、でました。

天平時代の息吹が今、目の前にある。

そう考えるだけで、もう動けません。

その後も感動の嵐。

 

いつも言いますが、これだけの工芸品を今、作れるだろうか?

シルクロードを経て、ペルシャ文化が入ってきたにしても、それを再現したのは当時の日本人。

あるいは大陸で作られたものが、そのまま持ち帰られたのかもしれない。

いずれにせよ、今から千年以上も前にこれだけのデザインと技術があったのだということが驚異的です。

聖武天皇ご愛用の品だとしても、何気ないものを置くだけの台が非常に凝っている。

こりゃね、粋としか言いようがありません。

以前にも述べましたが、確かに家電製品やコンピューターなどを見ていると文明は発達したかのように錯覚しますが、正倉院展を観るとそういったものがすべて幻想だということを痛感するのです。

人間は何も進歩していません。

 

サッと観終わりましたが、いい加減に観たわけではありません。

ちゃんと僕の心のファインダーはあちこちの宝物をとらえ、シャッターをきったのです。

だらだら観たいわけじゃなく、単に感動したいだけ。

そういうことです。

僕思うんですが、もし旅費と宿泊費込みで5万円以内なら、日本人として絶対に観に来る価値はある。

行ってヨカッタ~。

去年は琵琶を展示していたのですごい人気だったそうですが、今年はそれが蘭奢待(らんじゃたい)と大刀なのでそれ程でもないそう。

だいたい、香木を見てどうしようっちゅうねん。

蘭奢待の字をよく見てください。

それぞれに東、大、寺 の3文字が入っているのがおわかりでしょうか。

 

開催は今月14日まで。

皆さん、是非どうぞ。

詳細は公式HPで。

 

話変わって、今からおよそ4年ほど前に、九州の小倉で開業されている筒井昌秀先生が亡くなられました。

享年62歳、癌でした。

今、歯科界では補綴(被せ物や入れ歯)治療と歯周病治療は分業が進んでおり、特に外国ではそれぞれの専門医の間を患者さんが行ったり来たりして通院します。

日本でもその傾向になりつつありますが、自分一人で何でもやっちゃう先生も少なくありません。

僕もそのうちの一人ですが、筒井先生はツツイ・マジックと称されるほどその臨床は素晴らしく、患者さんには失礼な言い方ですが、治療終了後の口の中の写真とかを見るとまるで芸術品のよう。

あの初診時の状態がどうすればこのような結果に、それもドクター一人で(ただし、奥さまの筒井照子先生が矯正と顎関節を担当されます)出来るのか?

海外で筒井先生が発表されると会場からはスタンディング・オベーション、世界でトップクラスの著名な先生からも称賛されるほどでした。

日本人はすごいんです。

僕が医局に在籍していた当時、小倉で乗り換え折尾まで月に一度勉強しに筒井先生の診療所に通っていたことがあります。

その臨床はもちろん学ぶべきところが多いのですが、正直言ってスゴ過ぎて真似が出来ないというか、お手上げって感じでした。

しかし現在、その筒井先生の臨床に対する真摯な姿勢は間違いなく後輩たちに受け継がれているのです。

今ごろ、天国でお酒、飲んではるやろうなぁ。

それとも、上でも歯科のこと考えてはるやろか?

2011.11.4

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