昨日、久しぶりの患者さんがおみえになりました。

義歯にヒビが入ったとのことで、お預かりして技工士に修理してもらうことにしました。

この方は本義歯の前に治療用義歯を作っていたので、預かっている間はそれを使ってもらいます。

この方の義歯を作ったのは、茨城県にいる技工士でそこまで宅急便で届けるわけです。

自費の義歯でしたが、非常に喜んで頂いています。

問題はこの方の奥様なのです。

 

長年当院に来て頂いていたのですが、ある時、上顎に入っている部分義歯をインプラントにした方が良さそう、と感じました。

どうも義歯よりもしっかり噛めるインプラントにしないと、そのうち心理的に落ち込んできそうという直感がきたのです。

僕は本人が義歯で満足していれば、あえてインプラントなど勧めませんが、時として強く勧めることもあります。

それはその人の口の中や普段の生活の質が、将来どうなるかが見えることがあるからです。

 

インプラントをそれなりの本数と、前歯のセラミックのやり変えを含めて全部で200万円の治療費です。

当院では5年以内の自費の再治療費は無料、10年以内なら材料費、技工料だけ、それ以上は通常の料金を頂きます。

例えばセラミックを入れた歯が割れてしまって抜歯になってしまいインプラントをすることになった場合、インプラントの通常料金から以前セラミックの被せ物に対して支払われた料金を差し引きます。

要するに二重取りはしないわけです。

 

そういったことも含めて200万という治療費でした。

それを提示した次の予約の時に全額持参されました。

その後、部位別に少しずつインプラントを埋めこんでいき、最終的に義歯だったところにはすべてインプラントを支台としたプラスチックの仮歯が入りました。

その頃から、左の顎関節に強い症状が出るようになりました。

今、考えてみればインプラントをする以前、すなわち義歯だった時からたまにそういう症状はあったのですが、その時はしばらくすると治まっていたのです。

ところがインプラントをした後に出た症状は、僕は色々とアプローチしたものの一向に改善する様子がありません。

本当は精神的(スピリチュアル的)な要因が強くあることはわかっていたのですが、そんなこと口に出せませんから、あくまでも歯科的に試みたのですがダメでした。

その結果、ある日受付に電話がかかってきて、顎関節に関して他の医院で診てもらうから当分こちらでの治療は休みますとの旨でした。(僕、顎関節とか噛み合わせとか結構専門と言ってもいい位なのに・・・・)

 

それから数カ月が過ぎ、一年が過ぎました。

こちらとすれば、すでにお金を頂いているわけですから、例え30年後であろうがその頂いた分で治療を再開するつもりです。

ところが治療を任意に中止されると話がややこしくなります。

治療費の返却という問題が生じる可能性があるからです。

結構お近くの方なので、僕が道を歩いている時でも、いつ会うかと思うとドキドキします。

僕の治療が奏功しなかった気まずさと、預けてあるお金を返してくださいと言われるんじゃないかという不安。

 

言っときますけど、こんなこと書かなくてもいいんだけど、どうも大事なことのようなのであえて正直に書いています。

 

「返して」と言われてスッと返せるはずがありません。

ワンネスビル建設の借入金でお金など右から左だからです。

昨日、朝のミーティングでご主人の予約が入っているのを知った僕はものすごく焦りました。

「ああ、200万返せと言われたらどうしよう・・・」という思いと、

「でも、それだったら電話で済むわけだし、自分の義歯の修理を僕のところに頼みにくるはずもないじゃないか・・・・」という思いと

「もし、奥さん連れて来られたら大変だぁ・・・・」

など、色々考えが浮かんでくるわけです。

遠隔ディクシャを依頼されるような人間でも、こういうときゃ、色々考えますねん。

 

話として何がややこしいかと言いますと、患者さんの立場とすれば治療が完了してないのだから200万全額返して欲しいとなりますし、当方の立場から言えば、インプラントを数本埋め込み仮歯で噛めるところまでもっていっている時間や経費がかかっているということがあります。

そこの折り合いをどうつけるかなのですが、僕は途中でそういった様々に浮かんでくる考えを全部放棄しました。

そしてただ真摯で誠実であろうと決めたのです。

ただし、あちらの言い分を全部きちんと聞いてから僕の方の立場も理解して頂こうと思いました。

 

さあ、いよいよご主人が来院され診療台に座られました。

結局ね、お金の話は一切出なかったのです。

ご主人が言われたのは、ご自分の義歯の調子はすこぶる快調であること。

奥さまは顎関節の不調のために様々な症状が出て苦しまれたけれど、今通っている医院で少しずつだが良くなっていること。

その医院は奈良から結構遠いこと。

そして、当院に治療のために復帰するのは(!)まだ当分先だろうということ。

僕はずっと奥様のことを気にかけていた旨お伝えしました。

お金の事はヤブヘビですから口に出しません。

そこがズルイと言えばズルイかもしれない。

あとはご主人の義歯の修理の段取りについてご説明してその日は終了。

 

例えばね、あなたが医療過誤で重篤な手術の後遺症が残ったとしましょう。

もちろん担当医も院長もあなたやご家族に謝罪するでしょうが、話し合いの過程でどういう時に「こいつ絶対に許せない」となるかというと、相手が自分たちの保身を考えていることが見え隠れした時です。

もし全面的にこちらの心配だけをしてくれていて、すべて正直に話してくれるのなら、最初はそりゃ腹も立ちますが絶対許せないとはならないはずです。

相手が自分を守ろうとしたり、嘘で繕おうとしたら裁判沙汰にまで発展するトラブルとなるのです。

 

だから過ちを犯した方は、保身をしている風にとられないように注意しましょう・・・・・なんてテクニックを伝えているんじゃないですよ。

そんなもの見透かされますからね。

どのようなことも、真摯であること。

そして誠実であること。

真実を語ること。

そして、もちろんトラブルにまで発展しないように祈るでしょうが、大切なのは特定の結果に捉われないこと。

 

僕も正直に話をして、あとはなるようにしかならないし、それをすべて受け入れようと思いました。

何にせよ僕の心に引っかかっていたものがクリアになるのですから精神衛生上はすこぶる宜しい。

もう一度強調しておきますが、何が起きても最善の事しか起こらないので、結果に固執することは絶対に避けるべきなのです。

 

昨日、患者さんに山盛りの土筆を頂きました。

奈良の柳生の方で取って来られたそうです。

下の子供たち二人は広島に帰っているので、妻と藍と三人で僕の行きつけの店に行って料理してもらおうか、ということになりました。

家で調理しても良かったんですが、なんとなく三人で外食したかったのね。

ハカマはすべて妻と藍で取ってあります。

 

患者さんから「天ぷらにして塩をつけて食べてください」とのご指定なので、とある居酒屋さん目指して歩いていくと、店から少し離れたところに本日のオススメのポップがでています。

さすがにそこに土筆の天ぷらと書かれていたら諦めようと思いましたが”ふきのとうの天ぷら”はあったものの土筆は書いてない。

まあ大丈夫やろ、と思って店に入ったらすごい混みあっていて、おまけにテーブルの上に置いてある本日のオススメに”土筆の卵とじ”と書いてありました。

「うわっちゃ~!」

 

でも、もうビールも(藍は水)お通しも出てしまったし、今さら後に引けません。

こそっと女将さんにお願いしたんですが、その後もどんどんお客さん入って来て申し訳ないったらありゃしない。

で、供された土筆の天ぷらはすごく美味しくって、おまけに大将気を利かしたのかイヤミか知りませんが、その土筆で卵とじも作ってくれました。

益々恐縮です。

 

土筆丼.jpg

僕はお店で食べ物の写真をとるのは基本的にマナー違反だと考えているのですが、これは思わず撮ってしまいました。

土筆の天ぷらをご飯にのっけて醤油かけて一味を振りかけた、ミニ土筆どんぶり。

これがメチャうま。

近鉄奈良駅西改札を出て、地下道をずっと歩いていったところにある居酒屋”ほおずき”さん。

大将、えらいすんまへんでした。

 

今から同時にもらった土筆の醤油煮持って、かえる庵に行ってきま~す。

2012.3.28