Eco-System エコシステム
あまりに嬉しいので、ブログにも書いてしまいます。
そのうち医院紹介の方にも追加しますけど。
当院で導入している(株)エピオスのDr.Plusという蛋白分解型殺菌水(弱アルカリ性次亜塩素水)生成器を扱っている会社が、新たに製作したエコシステム。
これは院内の給水システムのほとんどすべてに殺菌水が流れるというものです(トイレとかは普通の水道水)
上は本体
Dr.Plusでは500ppmという濃度の殺菌水ができ、それを適宜希釈して使用するわけですが、エコシステムは基本的には20ppmで、ほとんど無味無臭です。
こりゃ完璧にインフラ整備でして、うちCTありますとか、レーザー治療ができますとかいった類では全くないのですが、これを導入してから僕もスタッフも非常に喜々としております。
患者さんのためと言えば聞こえがいいでしょうが、どちらかというと、あらゆる所から殺菌水が出るという感覚が僕たち医療従事者側に得もいわれぬ満足感を与えてくれるんですねぇ、これが。
だから完っ璧に自分のためでござんす。
ちなみに奈良県の歯科医院で導入したのは当方が初めてだそうです。
だんだん、このブログも商売っ気が出てきたね(笑)
実は歯科の診療用台から出る水というのは汚染されていることが多いのです。
これには理由がありまして、通常水道水が巡っているわけですが、水道水というのはきちんと決められた残留塩素濃度になるようにできています。
しかし、浄水場からの距離だとか、あるいは地下の水道管から直接水道を引いているのかどうか(テナント開業の場合、屋上にタンクがあってそこから水を引いていることも多い)といったことが残留塩素濃度にすごく影響するのです。
屋上のタンクから水道を引いている場合は、タンクの清掃が定期的に行われているかどうかというのも問題になります。
こう考えてくると、大病院の手術室で使う水でさえ?マークがつくかもしれません。
歯科の診療台の水回りが汚染される理由は、常時水が流れていないことによります。
つまり夜、診療が終わってから翌朝に診療を開始するまでの間、水が流れていたホースやパイプの中は流れが停止している状態。
この時にただでさえ少ない残留塩素が全部抜けてしまって、温度も湿度も細菌が繁殖するのに絶好の環境になるのです。
新しく診療台を買っても、一日経てばもう汚染されるといいます。
この問題を解決するために、まずホースの中に入っているチューブをフッ素コーティングされたものに交換することで細菌がくっつきにくくするという方法があります。
次に水道水の残留塩素濃度を高めるような器械を使う方法がありますが、これはあくまでも水を細菌に汚染されないようにするという考え。
エコシステムというのは、水を殺菌水にするということで、より積極的な院内感染予防と言えます。
感染予防どころか、これで治療すると水が当たる所はほぼ瞬時に殺菌されるわけですから、治療が即、口の中の殺菌ということになるわけです。
こりゃ、スゴイね!
献血に行かれればわかりますが、問診票のごく最初の方に「最近、歯科の治療は受けられましたか?」というのがあります。
これで2,3日の間に治療を受けたとなると、献血の対象から外されます。
日本赤十字社の認識としては、歯科治療を受けた=菌血症(細菌が血液の中に入る)ということのようです。
それは歯石を取ったり、麻酔をしたり、抜歯をしたり、とかく出血するような処置が多い中、口の中の細菌が容易に僅かな傷口から血液中へと入るからです。
その際に、水も汚染されておれば尚更です。
実はうちの診療所において、3年くらい前に親知らずを抜歯した後、そこが化膿した患者さんがいらっしゃいました。
抜歯翌日は休診日だったので、痛みと腫れで連絡しようにも電話が繋がらなかった患者さんは、他院に行かれその旨のクレームを頂きました。
それで、診察券を新しくする際に僕の携帯電話の番号を印刷するようにしたのです。
器具もすべて滅菌しているし、手袋もしているのに何故化膿するのか?その時は訳がわかりませんでした。
今となっては、「ああそうか、水か」とわかるわけです。
患者さんの抵抗力が落ちている時には、そういうことも起こり得るということです。
医科に比べて歯科は、そのあたりの認識が非常に遅れているのですが、僕はたまたま今回この器械を導入する巡り合わせだっただけで、他の歯科医院のことをどうこう言える立場ではありません。
水のために300万円近く投資するなどというのは、今の歯科界の経営的な現状を考えればめちゃめちゃ無理のある話なのです。
ただ、僕は微力ながら他の先生方の意識改革に役に立てればいいなとは思っています。
こんなものを他院との差別化などとは片腹痛い。
あくまでも奈良県での先駆けというだけの話です。
でも、このシステムやっぱりメッチャええわぁ。
2012.5.13
52才男性です。自営業してます。
献血行ったことないので知りませんでした、そんなに口の中は汚いのですね。前から削る道具にも不信感をもっていましたので歯医者にはできるだけいかないようにしてました、医者はわかっているのですね。先生の取り組みは患者のことをほんとうに思われてるから高額な設備投資をされたわけで先生はすばらしいと僕は思います。他県で遠いので先生のところには診察いけないです。奈良県で1件しかないと言うことは、ほとんど無いのですね。医療関係者の鏡です。
藤田さん、コメントありがとうございます。
最近は、新しく発売される診療台において、水の循環システムが改善されていることも多いようです。
これから益々歯科においても水に対する認識は高まると思われます。
日本歯科医師会雑誌にも掲載されましたしね。