昔々あるところに小さな王国がありました。

そこの王子様はそろそろ結婚してもいい年頃になったので、民衆の中から気に入った女の人を見つけてお姫様になってもらいました。

最初その女の人は王室に入るのは恐れ多いと断ったのですが、あまりにも熱心に王室の使いの者が王子様の意向を伝えに来るものだから結局折れて、結婚することにしたのです。

その王子様は長男だったので、王様が死んだらその後を継ぐことになるのですが、自分が死んだ後王国を継ぐ者がこのままではいません。

ですから王子様の結婚はそれはそれは国をあげて大喜びしたのです。が、・・・・

 

二人が幸せだったのもつかの間でした。

なぜなら結婚してもなかなか子供が出来なかったのです。

実は王国の医師団はその理由を結婚前から知っていました

そう、結婚する前から子供が出来ないことはわかっていたのです。

というのはね、王子様の体には子供を作る種が生まれつきなかったからなのです

ところが・・・

 

ある日のこと、お姫様の妊娠が発表されました。

それはそれは皆に祝福されたものです。

そして十月十日がたち、お姫様は元気な赤ちゃんを産みました。

でもそれは皆が期待していた出産ではありませんでした。

生まれてきた赤ちゃんは女の子だったのです。

その王国では女の王様は法律で認められていませんでした。

こうなるとどこの国でもそうでしょうが、お姫様が悪いというふうに世間では言われるものです。

そして次の出産に期待が寄せられました。

そのうち・・・

 

お姫様の様子が変になっていきました。

気分がすぐれず、感情の起伏が激しくなり医師団には鬱病と診断されたのです。

こうなるとお姫様は王国の行事に参加できません。

王子様は一生懸命お姫様をかばっています。

そのせいで王子様は自分の弟とも喧嘩する始末。

皮肉なもので先に結婚していた弟の第二王子の方にはちゃんと男の子が生まれていたのです。

いったい、お姫様に何が起こったのでしょう?

 

その王国では医療が非常に発達していました。

また王室のお世話をする王室庁というところでは常に王室の血脈が守られることに腐心していました。

ですから表向きはないとされていた、王様のお妾さんも実は隠れて存在していたのです。

とにかくお妃様やお姫様に課せられた最も大切なことは男の子を産むということだったのです。

でもそれがうまくいかない時のために王室庁では保険をかけていました。

何かというと、まだ前の王様が生きていた時に、その王様の子供の種を取り、それを凍らして保存するというものでした。

どうやらお姫様は、お姫様から見れば義理のお祖父さんにあたる人の子供の種を植え付けられたみたいです。

それでも最初の赤ちゃんが女の子だったので王室庁はもう一度、前の王様の子供の種をお姫様に植えようとしましたが、今度はお姫様がものすごく嫌がりました。

そりゃそうですよね。

その時王子様はというと、自分の体の問題からお姫様に嫌な思いをさせているのは重々承知の上ですが、王室の血を絶やさないためには王室庁の言うことも聞かざるを得ない、両者の間で板挟みでした。

「兄さん、そっちがだめでも僕の方にはちゃんと男の子がいるから、こいつに王様を継がせればいいんだ」と第二王子は言ってきます。

でも王子様は知っていたのです。

第二王子は自分とは違う母親の子供だということを・・・

 

医師団の必至の治療もむなしくその後、お姫様が完治することはありませんでした。

なぜって、テレビや新聞で散々な言われ方をされるから、嫌でも自分の悪口が耳に入ってくるので、何とか早く治そうと思っても治りっこないのです。

可哀想なお姫様・・・

 

さて、その後その王国はどうなったでしょう?

答えはもう少し生きていれば嫌でも・・・もういいっか。

 

~著者あとがき~

この昔話の大まかなところは誰かから聞いた話ではありません。

ただ、自然と頭の中に浮かんだのです。

その上で詳細部分では人から教えてもらったこともあります。

すごく不思議なのですが、ディクシャを受け天とつながるとこのように本来知り得ないはずの別の場所で別の時間に起こっていることも知ることができるのです。

お話の中のお姫様はじめすべての人々に幸多きことを願います。

2010.8.19