先日、日本歯科医師会雑誌の8月号が送られてきました。

その冒頭で日歯会長と編集工学研究所所長の松岡正剛(まつおか せいごう)さんとの対談が載っており、非常に興味深い話があったので今日はそれを紹介したいと思います。

松岡さんは昨年丸善本店4Fにて全く新しいコンセプトに基づく書店”松丸本舗”をオープンされ、確かそのことはテレビでも(情熱大陸だったかな?)紹介されました。

この人、「平城遷都1300年記念出版NARASIA」も書いてるんですね。

 

話の概要はこうです。

松岡さんのお父様が癌になった時、年齢退行を起こされたそうなのです。

ある時は若者の言葉でしゃべったかと思うと、何日かしたらもう幼児の言葉になってしまっていた、ということがあったのです。

松岡さんはその後たまたまアメリカのケタリングがんセンターの所長だったルイス・トマス氏の書いた本に出会われます。

そしてお父様が年齢退行を起こした原因について究明しようとアメリカまでルイスさんを訪ねに行かれました。

以下は松岡さんが対談で話された内容の引用です。


するとルイスさんは「松岡さんは1個の生命ですか」と聞くんです。

 

あ、これはダメだ(笑)。

 

「そうですね、大腸菌は何億もいますよね、

細胞も1個1個生きていますよね。

松岡さんはお元気そうだけど、サナダムシもギョウチュウもいるかもしれませんから、1個の皮膚で包まれた1個の生命なんてありません。

お父さんが年齢を退行させているのではなくて、たくさんの生き物がそういうものを共存させているにすぎない、ガンがそれを再生させる時に、そういう順番になっただけなのです」

 

このようなことをお話になって、もうお手上げ、参りましたという感じだったんです。


このルイス氏のお話は非常に示唆に富んでいて奥深いものがあります。

ワンネスに通じるものがありますね。

きっとそういう人なのでしょう。

 

我々が自分の肉体だと思っているものは、はたして本当に自分の体でしょうか?

確かにそこにはたくさんの細胞がそれぞれ独自の間隔で生まれては死に、また生まれては死ぬということを延々と続けています。

それに対して我々は一切関知できません。

また腸内細菌はじめ口の中の細菌ももそうですが、様々な微生物も体の中や皮膚表面に存在し、我々はそれらの微生物の助けがなければ一瞬たりとも生きていけないのです。

ということは肉体というのは人間の魂も含めて、そういったものすべてが共有しているのだと言えませんか。

肉体が魂の乗り物と言われる所以であります。

結局、自分のなんてない、そんなの幻想なんですね。

2010.8.20