解説
皆さん、昨日の「家族の幸せ」はいかがでしたか?
実はこれ、一昨日の僕の夢なんです。
朝起きた時に「なんじゃ、今の!なんでこんな夢見るねん!」と思ったのですが(だってどこにも僕自身は登場しないのですから)、何で見るかというとそりゃブログに書けということだろうと気を取り直し、適当に肉付けして短編小説風にしました。
ですから、夢を見るまではこんな話のカケラも頭の中になかったのです。
実際に夢で見たのは最初の幸子が和也を駅で探し回るシーンだけで、あとはすべて僕の創作です。
皆さんは単に読み物として捉えられているかもしれませんが、これが大部分の家族の実態です。
人は往々にして物事の表面だけをとらえて、「うちの家族とは違う」とか思われるのですが、それが大間違いなのであります。
この話の本質は何かというと、家族がそれぞれに自分の本当に叫びたいくらいの想いを心にしまいこんでいるということです。
そしてそれこそが日本中すべての家庭がぎこちない理由に他なりません。
「究極のアンチエイジング」でも述べましたが、唯一家族だけが感情を相手に対してぶつけていいのです。
それでも仲直りするのが家族なのですよ。
父、正雄は家族みんなに非常に気を遣い、優しい父親を演じますが、彼自身の感情は全くこの話からは読み取れません。
父親とはそうあるべきだと考えているんでしょうか?
幸子は感の良い人はお分かりだと思いますが、明らかに小さい頃から親に無条件に愛されるという体験が不足しています。
それゆえ、いつも相手の愛情をつなぎとめておくために、自分が相手に気に入られるようにしなければいけないと頑張ってきました。
そして、実の息子の和也にありったけの愛情(もどき)を注ぎ、それにより傷ついた自分のインナーチャイルドを癒そうとしています。
ところが彼女にとっては息子の裏切りともとれる行為に~単に息子が決められた時間に帰るのが嫌だっただけなのですが~突然その緊張の糸が切れ、残念なことに心を病んでしまいます。
紗江子も和也も根は非常に優しい子供たちです。
でも胸にわき起こるいろんな感情をそのまま出せばお父さんやお母さんが悲しむと思って、すべて押し殺してきました。
その結果、自分の本当の気持ちと、自分が頭でこうしなければいけないと考えることと、また自分が思わずとってしまっている行動とがすべて首尾一貫しないことに悩みます。
自分は悪い子供じゃないかと考えてしまうのです。
どうでしょう、皆さんの家庭と比べてみられて。
僕たちはね、正雄が言うように結婚して子供が出来たら自然に家庭というのは出来上がるんだと考えていました。
そして、経済的に安定して皆が仲良く健康ならば幸せな家庭が築けるんだ、と決めつけていました。
どうやら違ったみたいですね。
いろんな本が出ているけれど、夫婦はどうあるべきか?子供にどう接すれば良いのか?そもそも幸せな家庭とは何か?父親学、母親学、そして子供学、僕の見たところ、どこにも正しいことは書かれていません。
また学校でも教えてくれません、こんな大事なことを。
ということは誰もそういったことを知らないということです。
だからね、皆さんが悩むのは当然なのですよ。
落ち込む必要一切ナシ!!
それでね、正雄と紗江子の最後の会話をみてください。
確かに幸子の病気は大きな問題だけれども、家族というのはいつだってやり直せるのです。
今日からでも、明日からでも、もっとじっくり構えて10年後だってかまわないのです。
その中で、家族の各人がそれぞれの体験をしていきますが、それとともに家族全員でひとつの大きな体験をするのです。
だって、家族なんですから。
あなたの家庭の未来に幸多きことを心からお祈り申し上げます。
追記 名前と生年月日に隠された秘密はご覧になりましたか?
昨日の話でもきちんとそのあたりのことを考えた上で、各登場人物に名前をつけてありますよ。
2010.9.16