光とともに~後編 生まれ変わり~
僕が自分が生まれてきた時のことを再体験している最中、最初は仰向けに寝ていた体が徐々に横向きになり、そのうち手と足が体に引き寄せられるように縮んできて、ちょうど胎児が母親のお腹の中にいるような形になりました。
時間をかけて少しずつそのように体が勝手に動くのです。
そして誕生の瞬間は実にあっけないものでした。
「はい、生まれました!」
というケビンのアナウンスに「え?生まれたの?」という感じ。
確かに生まれた感覚はあるのですが、産道を通っていく感じや膣から出ていく感じが全くなかったのです。
それと不思議なことに、生まれる瞬間にごくごくわずかな怒りの感情がありました。
「なに?今のムッとした感じは?」と思ったのです。
もっと喜びに満ちて、あるいは周りに喜ばれて出てくると思ったのに、それは意外なほどあっさりしていたとともに、わけのわからない怒りを伴っていたのです。
後から知ったのですが、僕、帝王切開で生まれたそうです。
怒りはそれに伴うものだったのかもしれません。
いまだに自分の内から消えないこの感情の出所については、実のところ今でもよくわからないのです。
ここでしばらく休憩。
ここまでだけでもかなり疲れます。
会場には独特の余韻が漂います。
再誕生と生まれ変わりのワークをここまで効果的にやっているのはケビンだけという話です。
この自らの出生と新しく生まれ変わるというのは何度やってもいいもので、やる度に違う体験をするようです。
興味のある方は是非受けてみてください。
人生変わること受け合います。
もちろん人により体験は違うのですが。
さあ話をいよいよ生まれ変わりに進めましょうか。
途中までは再誕と同じです。
ずっと自分の人生を逆行していき、最終的に母親の子宮の中まで戻ります。
さっきと違うのはそこから。
今度は子宮に宿る前、つまり天国でお母さんの準備が出来るのを待っている状態まで戻ります。
天使としての自分。
さまざまな要因によりトラウマを身につけて生まれてしまったのは先ほど十分わかりました。
今度はやり直しです。
子宮の中から天に昇っていく時、その時こそ僕が生まれて初めて光に包まれた瞬間です。
3日前のの「Body & Soul」はその時の体験が元になっています。
体中が暖かくなって、自分が過去にやってきたいろんな恥ずかしいこと、罪や過ちといってもいいようなこと、許しを請いたくなるようなこと、それらすべてが完全に受け入れられ、完全に赦され、もう何とも言いようのない安堵感に包まれます。
周りは光です。
そして僕も光です。
身体はどこにもありません。
でも僕は確かにここにあります。
ここにあるんだけれど、正確に言うと僕という感覚はなくなります。
ただ思考だけが残るという言い方がふさわしいかな。
そして胸の中心部分、おそらく霊的な意味でハートと呼ばれるところだろうと思うのですが、そこが最も熱くなります。
身体はないんだけれど、僕の身体のようなものは、どんどんどんどん上に引き上げられ、吸い込まれていって光はもう目を開けていられない位に眩(まばゆ)い(実際には目を閉じてワークをしているので、目を閉じていられない位というのが正しい)。
今まで現実でも夢でも見たことがないような、本当に眩いとはこういうことを言うのだという位の圧倒的な光です。
そこの中に入っていって、僕は、いや僕のエネルギーなのか思考なのか何なのかわからないものは、そこで浮かんでいます。
ここからの数行は今振り返って書くことで、その時感じたことじゃないんですが、自分というのは概念で本当は自分というのはないということに気づきます。
一部分と全体。
そうであるけど、その一部分は全体の中で他の部分と溶け合っているので、境界がない。
光の中でずっといるのは非常に心地よく、離れたくないのだけれど、先ほど述べた感動は人間世界から光の世界へ来たから感じることであって、ここにいるとその感動がだんだん麻痺してくる。
もう一度、ここを離れて自分に何が出来るのか、自分が何者であるのか再認識したい。
そういう意識の元に次の行動に移るのだと思います。
僕がいわゆる死というものを全く恐れなくなったのもこの体験があるからです。
死というものは本当は存在しない。
ただ光の世界へ帰るだけ。
そしてまた戻ってくることもできるし、他のところへも行ける。
こんな輝かしい体験は少なくとも今いる三次元の世界ではあり得ない。
死というのは本当は素晴らしい、筆舌に尽くしがたい体験なのだと得心したのです。
アニメのフランダースの犬の最終回のようなものです。
教会の大聖堂、大好きなルーベンスの絵の前で愛犬パトラッシュとともに天に召される主人公のネロ。
教会の窓から何人かの天使が迎えに来て、手をつなぎながら一緒に天国に帰っていきます。
あれね、アニメの中の絵空事でも何でもなくって、まさしくあの通り!!なんです。
さて、この世界に何をしに来たのか、なぜこのお母さんとお父さんを選んだのか、それらを再認識した上でもう一度お母さんの子宮に入っていきます。
ああ、またお母さんの心臓の音が聞こえてきた。
羊水の中でたゆたいながら、完全に安心して任せきっている状態。
あったかくて、お母さんの匂いもするようで、ずっとこのままでいたい気持ち。
でも、出ていかなくちゃいけない。
やりに来たことがあるから。
さあ今度は産道を通っていきます。
狭い窮屈なところを抜けて、未知なる外の世界へ。
今の安全なところを離れるのはちょっぴり怖いけど、勇気をだして。
ずっと天国で見守っていたお母さんとお父さんにまた会えるから。
はるか昔に約束した通りに。
さあ、もう一度、あなたの誕生です!!
おめでとう!
よくぞ、またこの世界へやってきましたね。
生まれてきてくれてありがとう。
BGMにミネハハの「天地をつなぐ物語」が流れています。
脳障害児の日木流奈君が作詞した歌詞を聞きながら、自分が生まれてくるまでの遥か長い旅路の余韻に浸ります。
会場中、嗚咽の嵐。
僕だって目隠ししているタオルのすきまから涙がこぼれます。
これ書いてる今だって、涙が頬を伝っています。
人が一人生まれるって、こういうことなんですね。
本当に、生まれてきてくれてありがとう。
そして、生んでくれてありがとう。
皆さん、こころから愛しています。
2011.1.22