進歩のない世界(笑わしてくれる歯科の現実)
本日は例によって体調がアレですので昨日の話を書こうと思います。
「しょっちゅうやないかい!」とのお言葉は結構です。
いりません。
不要です(笑)
昨日は朝10時から午後5時まで、大阪の千里中央ライフサイエンスセンターというところで、ある特殊なタイプの義歯のセミナーがありました。
休憩時間も食事時間もなしで、適当にトイレに行って講義を聞きながら適当に飯食ってくれというやつです。
この受講費は一日のセミナーとすれば破格の値段です。
おそらく一般の人には想像もつかないような金額でしょう。
我々歯科医の喜びとは言うまでもなく患者さんの健康の回復、維持増進であり、その向こうにある患者さんの笑顔と幸せに他なりません。
そのために多くの歯科医はこのように様々な研修を通じて自己研鑽をし、それにかかる費用も旅費も含めて莫大なものがあるのです。
ここが歯科医と一般の医科の医師との違いでして、医者ももちろん勉強はしますがセミナーにお金を払うなんていうのは聞いたことがありません。
それだけ歯科の大学での教育と卒後の研修が実地の臨床からはかけ離れていると言えるのかもしれません。
「よく保険で良い入れ歯は作れないのか?」ということが議論されたりしますが、厚労省のスタンスは基本的に被せ物や入れ歯などは全部自費なのであり、そのごく一部を保険で認めることにより最低限の患者の口の健康を守ろうというものであります。
これは本当に厚労省の技官が言っていることなのでありまして、僕が都合良く解釈していることではありません。
現在、虫歯や歯周病などというものは歯科に定期的に通っていれば、ほぼ完全に予防可能なのであるから、そこに被せ物をしなければいけない、入れ歯を作らなければいけない状況を作るのは100%患者の責任であり、それに保険を適用するのは道理に合わないという理屈です。
僕はこの考え方があながち言いすぎとも思いません。
実際問題そうだからです。
医科や歯科の団体に保険医協会というのがあり、僕も会員なわけですが、これは完璧に共産党の息のかかった団体であります。
なぜそんなものに入るのかというと、その中の共済や年金のシステムを利用しているのと、歯科医師会にはない懇切丁寧なところがあるからです。
そこでは保険で良い医療をというのがごくまことしやかに語られるのですが、財源が限られているのにそんなことは到底不可能なことは誰だってわかるでしょう。
歯科でも同じ。
保険治療というのはあくまでも国民の最低限の権利を守るだけのものに過ぎません。
より快適なものを、より良いものをというのであればそりゃ自費治療になるのは当然の成り行きであります。
例えば入れ歯などは、僕の父親の時代からその中身は何も変わっていません。
入れ歯の材料も使うクラスプと呼ばれるバネの設計も、何一つ100年近く変わっていないのです。
そんなことがこの日進月歩の医療の世界で実際にあるということです。
信じられないですよね。
そして歯科医師国家試験はそれを基に作られ、大学では国家試験を基に講義をするので、この進歩のない世界は延々続きます。
バカバカしいにもほどがある。
この話は明日に続く。
2011.1.24