ていうか、もう読んだんですけど。

長いタイトルですんません。

昨日読み終わりました。

僕はだいたいが、へそ曲がりです。

天の邪鬼です。

ひねくれてます。

人と同じことやるのが嫌です。

世の中を斜に見て・・・・しつこい?(笑)

 

世間がバーボンブームの時、僕はモルトウィスキーを飲んでました。

次にモルトブームが来たら、ブレンディッドを飲むようになりました。

地酒ブームの時は焼酎を、焼酎ブームの今は日本酒を飲みます。

とにかく世間と反対をいきたがります。

なもんで、このベストセラーなんか鼻でフンッて感じで見向きもしませんでした。

しかし確かNHKのスタジオパークで作者の岩崎夏海さんがゲストで出ていて、映画化された感想を聞かれた時に、「すごく原作をうまく映画化してくださってありがたいと思っています」と答えながら少し涙ぐまれたのです。

あれっ?

この人、そういう人なの?

ということで僕も少なからずその作者と小説に興味を持ちました。

ある時本屋で平積みしているのを見て、偏屈なプライドを捨て、ちょっと周りの視線を気にしながら(「あ、あの人あんなミーハーな本手に取ってる!」と思われるのがイヤ)、パラパラとページをめくってみました。

するとその中で非常に心に引っかかる文があったのです。

 

「野球部とは何か?」

 

つまり野球部の定義をせよということです。

マネジメントする上でその組織の定義が重要で、その定義をそれ足らしめるために、他の細かいことがでてくるということです。

これには唸りました。

野球部の定義て、何?

もちろん野球をすること、なんてことじゃないに決まってます。

う~~ん!?

咄嗟には浮かびません。

その瞬間、この本の購入を決めたのです。

 

まだ本を読まれていない方には失礼なのですが、本日の話の進行上答えを書かせてもらいますが、主人公の女子高生の出した結論は「感動」

部員も監督も応援団も学校も野球連も観客も皆が求めているのは感動だ!というところから彼女のマネジメントはスタートします。

はあっ、なるほど・・・・。

この本は是非読まれることをお勧めします。

ドラッカーのマネジメントをわかりやすい高校野球の世界に置き換えて説明しているだけの本ではありません。

この作者は放送作家なので、そこはきちんとした台本になっています。

本を床に置いて下を向いて読んでいた僕は、最後の方で涙がレンズのようになって字が上手く読めませんでした。

そして、なんか透明なつららのようなものが目の前に・・・・・鼻水垂らしてたのです。

 

本書は僕のように組織を管理する者にとっては非常に有用であり、再考させられることが多いのですが、僕にとって一番の収穫はそういったことではありませんでした。

世間には「ワクワクドキドキ系の歯医者」というのが存在します。

非常に有名で自院の収入も桁はずれ、患者さんの口コミランキングでもトップになるという歯科医院の院長先生が自身のコンセプトをセミナーで語られます。

僕も2度ほど受講しました。

実は「ならまちワンネス歯科」の名称も「あなたの心に幸せの種をまく」のコンセプトも最初にその先生のセミナーを受けている最中に頭に浮かんだのです。

 

そこでその先生は「患者さんにもスタッフにも感動を与える!」という熱い思いを語られます。

そのために、このようなやり方、方針をとっていますと説明されます。

さて、僕はそう語る先生の目を見て、表情を見て、その奥にずっと抑え込まれてきた感情があるのがわかりました。

次にスタッフの女性が話されたのですが、彼女も同様でした。

お二人とも違う感情ですが、明らかにネガティブなものを隠し持っているのが明らかでした。

そこで思ったのです。

「あれ?こいつら言うてることに嘘があるぞ」

 

僕はそのセミナーの半年くらい前、治療が終了し、歯もきれいになって喜ばれている患者さんが必ずしも家庭に戻って幸せではないのだと気づかされた時、今のような診療ではいけないと思いました。

そこで歯の健康の向こうにある「患者さんの幸せ」というところにフォーカスしようと考えたのです。

ところが人に幸せになってもらうためには、当然自分たちが幸せである必要があります。

なのに、その先生もスタッフも表面上は笑顔でワクワクドキドキを装ってはいますが、その中身は全く別物に見えたわけです。

 

そこの医院のシステムは素晴らしいと思います。

まず初診の時に1時間かけてじっくりカウンセリングします。

患者さんの思いをとことん傾聴するのです。

患者さんは今までに歯医者で自分の言うことをそこまで聞いてくれた経験がありませんから、感動し一発でその医院のファンになります。

勤務している先生も衛生士も助手も、もちろん受付もみんなとびきりの笑顔で患者さんを迎えます。

治療スペースと予防スペースは分けられていて、子供連れでも来院出来るように配慮されています。

というより子供がそこの歯医者のファンになります。

そのくらい徹底しています。

 

でも、院長やスタッフが心底幸せでないのなら、そこにあるのはすべて虚構の世界。

そう思っていました。

だから僕のこのワンネス歯科のコンセプトをその院長がもし聞いて実践してくれたら、そこはもっと素晴らしい診療所になるのに、とずっと思っていました。

そしてそう思うことに実は違和感があったのです

 

当院では自費と保険の収入の割合が半々くらいです。

特別何か意識しているわけではないのですが、開業以来そうなっています。

医院によっては保険診療を行わないところもあります。

また審美歯科や予防歯科に特化したところもあります。

エステを併設しているところ、インプラントセンター、噛み合わせ専門等々種々様々であります。

要するに皆、院長が自分がやりたいようにやっているわけです。

経営の効率化を考えるのなら顧客層を絞った方が圧倒的に有利です。

でもそれは歯科医院としてワンネスなのか?

僕はそれはそれで各医院の特徴だから構わないと考えていました。

歯科のある側面を強調しているだけだから、それでいいのだと考えてきたのですが、でもどこか心に引っかかりがあるのです。

それはなんだろう?

 

それがこの本を読んで見事に解消しました。

つまり各医院によって「歯科とは何か」の定義が違うという話です。

歯科とは口腔の健康を通して全身の健康に、さらには人々の幸福に寄与するものである。

これは僕の歯科の定義ですが、あくまでも事業として歯科をとらえた場合、その定義は各人によって変わって当然だということに気づかされたのです。

だからいろんな診療スタイルがあってOK。

先に述べたワクワクドキドキ系の先生も、ご自身の歯科の定義が「感動を与える」ことなのであれば何も間違っていないわけで、そこにワンネス歯科のコンセプトなんて偉そうに言うこともないわけです。

ああ、スッキリした。

2011.4.18